リピート率No.1着付け師から学ぶ、マーケティングの基本

原理原則さえ押さえたらOKなマーケティングの基礎とは?

お客さんの意向で、
上手く着付けができない条件がある時、
一体どうやってお客さんに満足してもらうか?

という着付けの話の続きをいたします。

ここでは着付けを例にあげてはいますが、
言っていることは、
マーケティングの基本です。

着付けに興味のない方も、
ぜひ参考にしてくださいね。

私に着付け師としての極意を
教えてくれたのは、
他でもない、
マーケティングの師匠です。

ただし、
彼は男性ですから、
着物のことなんて知りませんし、
具体的に着付け師の心得を
語ったわけではありません。

つまり、
どんな業種でも、
原理原則を外さなかったら、
通じるマーケティングの基本です。

私はそれを着付け師として受け取り、
着付け師の場合はどうしたら良いのかを
把握できただけのことです。

それでは、お楽しみください。

その2:クレームの芽は先に封じろ

クレームに発展しかねない仕事になった場合、
どうしたらいいか?

プロ目線で、
お客さんに「補足説明」という形式での、
言い訳をしておく!(笑)

ということが非常に重要です。
だって、うまく着せられない方法で
着せているんだから。

これは、
ブラ問題に限ったわけではありません。

着付けがうまくできない原因が
お客さん側にあることは
よくあることです。

たとえば、
嫁入りの時に親が買ってくれた着物だから、
どうしてもこれを着たい。

といって、
その後20~30年たって
体形が見事に横へ成長してしまっている方の場合。(^^;



身幅が足りなくて、
前がはだけてしまうことなんて、
ざらです。

それでも、
お客さんはこの着物が着たかった。

親の形見だとか、
亡くなった主人が買ってくれた唯一の着物だとか、

着物を着る時には
お客さんはその着物に思い入れがあることが多いです。

だったら、
何とかして着せてあげなきゃ。(笑)

逆にレンタルの着物では

レンタルの場合によくあるのが、
この柄が気に入ったから。

などと言う理由で、
全く体形に合わない着物を
持ち込まれる方もよくあります。

タダで済ませたいから、
親戚から借りてきた。

という場合も、
身幅が足りなかったり、
逆に広すぎたり。

身長が全然違う人から借りてきた着物も、
なかなかに大変です。(笑)

まあ、大きすぎる分は何とかなりますが、
それでもあまりうまく着せられないこともあります。



そんな具合に、
体形に合わない着物を着せることは多いです。

もちろん全力できちんとお着せします。
でも不安が残る場合も当然あります。

ムリなものはムリですし。(^^;

そういう時、
式が終わるまで、
全く着崩れさせずに過ごせる保証はありませんよね?

だから保険をかけておきます。

着せながら
次のように説明しておくんですよ。

言い訳をプロの助言にすり替える方法

ぴったりの着物なら、
こうなんですけれど、
お客さんの場合は、
こういう悪条件がありますから、
もしかしたらこのようになるかもしれません。

それを防ぐために、
こういう処置をしました。

でも、
考えられることとして、
このようになる場合もあり得ます。

だから、
このように気をつけてくださいね。

という具合です。(笑)



さらに、
「プロからの指導」の形で、
動き方説明もしておきます。

トイレに行くときは、
ここに気をつけてくださいね。

椅子に腰かける時、
立つ時にはこのように。

こうなってしまった時には、
こうやったら直せます。

それらを話した上で、
最終手段も伝えておきます。



私は式場へは入れません。
ここで次のお客さんに着物をお着せしますし、
それが済んだら帰ります。

どうしても困った時には
会場には新婦さん付きの美容師がいますから、
何とかしてくれます。

ですから
スタッフに声をかけてくださいね。
(結婚式の場合)

一方ご葬儀の時には・・・

斎場で火葬が終わるまで、
長丁場になることが多いです。

たまたま私は斎場の近くに住んでいますから、
名刺を渡しながらこんなことをよく言いました。

「斎場で困った時には電話してください。
私の住所はこちらです。
なので斎場から近いです。
今日は自宅待機していますから、
困った時にはすぐに駆けつけられます。」

そう言って、
名刺を渡しておきました。

長年やりましたが、
斎場から電話をかけてきた人は
一人もいません。(笑)

また、
自宅待機できない日には、

「今日はこの後用事があって、
何かあっても駆けつけることができません。
斎場でお困りの時には、
出張着付けセンターへご連絡ください」

などと言いましたね~。(^^♪

お客さんからお助け依頼の電話が
かかってきたことはありません。

逆に
リピートの依頼はかなりの高確率でした。

「あの時着せてもらってとても良かったから、
また着せてください。」

というリピートの電話は
しょっちゅうかかってきました。(笑)

「この人は信頼できる人だ。」

と思ってもらえることこそが、
重要なんです。

そもそも、喪服を着る人とはどんな人か?

ご葬儀の場合には、
近頃は喪主の方でも洋服で済まされる方が多いです。

喪服の着付けを依頼される方というのは、
よっぽど着物が好きな方や、
着物をしょっちゅう着る機会のある方くらいのもんです。

つまり
ご葬儀で着付けを依頼される方は、
かなりの高確率で、
近い未来に着物を着る機会の多い方です。

ですから、
名刺を渡しておいたら、
けっこうな確率で、
再び着付けを頼まれたものです。

しかも直接。♪

ここがポイントなのですが、
間に出張着付けセンターが入らず、
直接依頼されるわけですよ。

中間マージンを抜かれないので
収益は倍になります。\(^o^)/

※まあ、着付けセンターが半分抜く、というのもエグイ話ですが。(笑)

結婚式場の暴露話

ついでに暴露しますと、
私が仕事をしていた結婚式場では、
式場が出張着付けセンターに支払うのは、
お客さんから受け取った金額の半額以下でした。

その半分を
着付けセンターから着付け師が受け取ります。

ですから、
実質着付け師が受け取った金額は
お客さんが払った額の4分の1以下なのです。

お客さん側としては、
高額な金額で着付けを依頼しておられるわけです。

それなのに、
あんな高額をもらっておきながら
着付け師は偉そうにつべこべ言う。

こっちの願いだけかなえてくれたら
それでいいのに。



一方、
着付け師側としては、
メチャクチャ安い金額で
奉仕の気持ちでやっています。

ビジネス感覚の人は割と少なくて、
着物を着せるのが楽しいからやっている。
みたいな人が多いです。

だから
親切でいろいろ言っちゃうわけです。

・・・という意識の違いもあるんですよね。(笑)

トラブルの元は、
ここにもあるんですが、
それはそれ。(笑)

着付け師さん側へのメッセージ

もしこれをお読みのあなたが、
着付けのお仕事をされている方でしたら、
ご葬儀では名刺を渡しておくことをおすすめします。

直接依頼がたくさんきますから。

一方、ご葬儀の着付けで
名刺を渡しているのに
リピート依頼が全くないなら…。

残念ながら、
よほど着付けがうまくできなかったのか、
あるいは
お客さんが何か不快に感じることを
しておられるに違いありません。

結婚式は事前準備ができますし、
多くの方が着物で列席されます。

それに比べて
いきなりやってくるご葬儀の場で
着付けを依頼する人は、
とても着物が好きな人だからです。

私の場合のリピートは、確率にして、
どのくらいでしょうか?

確実な数字で統計を取っていないから
肌感覚でしかありませんが、

ご葬儀の着付け後で
名刺を渡した人から連絡が来る割合は、
低く見積もったら半分くらいでしょうか?

実際にはおそらくそれ以上、
かなりの高確率で、
なにがしかの連絡があったものです。

ご本人でなくても、
他の人を紹介してくださることも
多かったですね。

成人式の着付けの時、
大勢の着付け師の中で、
私だけ指名されるお客さんが多かったのは
そういうわけです。(*^^)v

別に、
私の顔が広くて
多くのお客さんを持っていたわけではありません。

普通に他の着付け師と同様に仕事をしていただけですし、
むしろ私は結婚式場に派遣されることが多かったから、
ご葬儀は行く回数が少なかったです。

にもかかわらず、
リピート客を高確率でゲットできるのは、
どうやら私だけのようでした。


どうです?
これ、けっこうすごいと思いませんか?

これが、
マーケティングの師匠から教えられ、
忠実に実行してきた結果です。

今一度おさらいしておきましょう。

そもそも
お客さんがイヤだと思うことはしない。

それが可能となるように自分の技術を磨け。

でも結果として、
クレームとなるかもしれない不安要素がある時は、
先にこっちからつぶしておく。

上手くできなかった場合には、
プロ目線で説明する。

どういう理由で
不安要素があるのか。

その不安要素の原因は、
こっちではなく、あなた側ですよ。

ということを
まず説明しておく。

その上で、
自分はどういう処置をしたか。

でもその方法は、
対症療法的なものでしかないから、
もしかしたら
うまくいかない事態に
陥ることがあるかもしれない。

その場合は、
こういう風にしたら
切り抜けることができますよ。

それでもうまくいかない場合には、
最終手段としてはこうですよ。

ここまで説明しておいたら、
何か不具合が起きても、
お客さんは自分の責任だということが
理解できます。

だから、
着付け師への不満は残らない。

結果、クレームにもならない。

そして、
「信頼できる親切な着付け師だった。」
という記憶だけが残ります。

その上そこで名刺を渡せる環境ならば、
渡しておく。

そしたら
仕事が向こうからやってくる。(笑)

マーケティングの本質

マーケティングって、
こういうことなんですよ。

相手が望むことは何なのかを
全身で感じとり、
真心こめてお仕事をする。

そして、
すごく喜んでもらえている手ごたえを感じるなら、
連絡先を伝えておく。

たったそれだけです。

結局、何が言いたかったのかというと、

自分にとっての正義は、
相手にとっては正義どころか、
不愉快の種にしかならず、

クレームの原因にすらなる。
ということです。

正義は時として、
こっちが矛を収めないと、
うまく回らないことが多い。

その上で
うまくいかない時は
圧倒的なプロとしての立場から
「あなたの側に原因がありますよ。」
と理解させる。

そしたら結果として、
こっちが素晴らしい人に
勝手に格上げされちゃう。

という実例です。

ビジネスであろうと、
普通の人間関係であろうと、
一緒です。

・・・いかがですか?

あなたは、
自分の正義を無用に振りかざして
嫌われてはいませんか?

今日は、生意気にも
ちょっと自分が成功した実例を挙げてみました。(^^♪

実際には、
教えてくれた師匠が素晴らしかっただけですけどね。(笑)